米国市場のオプション・サイクル。E-mini S&P 500 Futuresのオプション・サイクル。
2021年10月27日
オプション・サイクル
オプションには取引可能な期限が決められており、これを限月(contract month)と言います。 限月には3つのサイクルがあり、各銘柄にはこの内の1つが設定されます。 下記の表の通り、各サイクルのオプションは年に4回、3か月ごとの限月を持ちます。
3つのサイクル
January cycle | 四半期の最初の月 | 1月、4月、7月、10月 |
February cycle | 四半期の真ん中の月 | 2月、5月、8月、11月 |
March cycle | 四半期の最後の月 | 3月、6月、9月、12月 |
1990年代になると短期のオプションに対応するために、このルールに変更が加えられました。
今月 - 翌月 - 四半期 - 四半期
March cycleを持つオプションで今月が10月であれば、「10月、11月、12月、3月」の4つの限月が設けられることになります。 通常のオプションで9か月を超えることなく、長期オプション(LEAPS)の場合、9か月を超えて限月が設けられます。
サイクル一覧
Cycle 1 (1-4-7-10) | Cycle 2 (2-5-8-11) | Cycle 3 (3-6-9-12) | |||||||
Front | Next | Quarter | Next | Quarter | Next | Quarter | |||
1 | 2 | 4 | 7 | 2 | 5 | 8 | 2 | 3 | 6 |
2 | 3 | 4 | 7 | 3 | 5 | 8 | 3 | 6 | 9 |
3 | 4 | 7 | 10 | 4 | 5 | 8 | 4 | 6 | 9 |
4 | 5 | 7 | 10 | 5 | 8 | 11 | 5 | 6 | 9 |
5 | 6 | 7 | 10 | 6 | 8 | 11 | 6 | 9 | 12 |
6 | 7 | 10 | 1 | 7 | 8 | 11 | 7 | 9 | 12 |
7 | 8 | 10 | 1 | 8 | 11 | 2 | 8 | 9 | 12 |
8 | 9 | 10 | 1 | 9 | 11 | 2 | 9 | 12 | 3 |
9 | 10 | 1 | 4 | 10 | 11 | 2 | 10 | 12 | 3 |
10 | 11 | 1 | 4 | 11 | 2 | 5 | 11 | 12 | 3 |
11 | 12 | 1 | 4 | 12 | 2 | 5 | 12 | 3 | 6 |
12 | 1 | 4 | 7 | 1 | 2 | 5 | 1 | 3 | 6 |
なお、オプションの限月コードは、数字ではなくアルファベットが用いられます。
月とアルファベットの対応表
1月 | F |
2月 | G |
3月 | H |
4月 | J |
5月 | K |
6月 | M |
7月 | N |
8月 | Q |
9月 | U |
10月 | V |
11月 | X |
12月 | Z |
E-mini S&P 500 Futuresのオプション・サイクル
ここまでで十分ややこしくなっていますが、最もメジャーと言える「E-mini S&P 500 Futures」に焦点を合わせると、さらに複雑になります。 良く言えば、選択の幅が広いとも言えますが…。
詳しく調査したわけではありませんが、IB証券のAPIを使い、シンボルをES
とする先物オプションでリクエストを行ったところ、14968のコントラクトがマッチしました。
3つのサイクル
「E-mini S&P 500 Futures」は「March cycle」に属します。つまり、3月、6月、9月、12月に限月があります。満期日は第3金曜日です。 先物に満期に合わせたオプションで、こちらは「アメリカン・スタイル」のオプションになります。
IB証券でのsymbolはES
、tradingClassもES
です。
Weekly
ここに「ヨーロピアン・スタイル」の短期オプションが加わります。 まず、月曜日、水曜日、金曜日を満期日とするウィークリー・オプションがあります。
symbolは全てES
です。tradingClassはサイクルにより異なります。
月曜日を満期とするウィークリー・オプションのtradingClassは、第1週から順にE1A
、 E2A
、 E3A
、 E4A
、 E5A
が割り振られます。
水曜日を満期とするウィークリー・オプションのtradingClassは、第1週から順にE1C
、 E2C
、 E3C
、 E4C
、 E5C
が割り振られます。
金曜日を満期とするウィークリー・オプションは少し変化があります。メイン・サイクルの満期日も金曜日なので重複してしまうからです。
EW1
, EW2
, EW4
は常設で、EW3
はメイン・サイクル以外の月で設定されます。
EOM
まだあります。各月の最終営業日を満期日とするEOM(End Of Month)オプションで、
tradingClassはEW
です。
これらを合わせると、月に最大15の満期がリストに並ぶことになります。 CME GroupのHPにあった表を一部転載しておきます。
E-MINI S&P 500
Monday | At any given time, four nearest weeks of E1A, E2A, E3A, E4A, E5A will be listed for trading |
Wednesday | At any given time, four nearest weeks of E1C, E2C, E3C, E4C, E5C will be listed for trading* |
Weekly | At any given time, four nearest weeks of EW1, EW2, and EW4 (Weeks 1, 2 & 4) and three nearest weeks of EW3 (Week 3) will be listed for trading |
EOM | Monthly contracts listed for 6 consecutive months |
Quarterly | Four months in the March Quarterly Cycle (Mar, Jun, Sep, Dec) |
➡ Weekly & End-of-Month (EOM) Options on E-mini S&P 500 Futures
満期を月1に限定してオプション価格を観察するなら、ES
とEW3
を追っていけば良さそうです。
ただ、他の流動性が低いかと言えば、そうでもないので難しいところです。
Micro E-mini S&P 500 Index
「E-mini S&P 500 Futures option」の満期日が多すぎたので、1/10サイズの「Micro E-mini S&P 500 Index」についても調べてみます。
シンボルはMES
です。
- Quarterlies (American Option)
- EOM
- Weekly
こちらも3種の満期がありますが、月曜満期と水曜満期が無いので幾分シンプルになっています。
Quarterlies
March cycleで、期近と期先の2つのみ。tradingClassはMES
です。
End Of Month
今月、翌月、翌々月の3つの満期があります。tradingClassはEX
です。
Weekly
tradingClassはEX1
、EX2
、EX3
、EX4
の4つです。
金曜日が5回の月もありますが、5回目の金曜日は月の最終営業日と重なるためEX
が代わりになります。
公式ページでは以下のように表現されてました。
5 Fridays (3 Weeks 1, 2 and 4 & 2 Serials)
ぱっとは理解できなかったので、実際のデータと照らし合わせてみます。 2021年10月28日現在でリストされているオプションは以下のようになっていました。
- 10月 EX
- 11月 EX、EX1-4
- 12月 MES、EX
- 01月 EX3
- 02月 無し
- 03月 MES
Font monthの次の月を「Serial Month」とも表現します。
恐らく、11月のEX3
がFront Month扱いで、12月のMES
がSerial Monthの1個目、1月に突如現れるEX3
がSerial Monthの2個目ということなんだろうと思います。
アルファベットの添え字
オプション・チェーンなどに表示される価格の後ろに小文字のアルファベットが付いていることがあります。 オプションの世界も取引時間が長くなっており、どの時点の価格なのかを明確にするためのものです。
c | market has closed |
p | options price is from prior trading session |
s | market has settled |
「SETTLEMENT PRICE」は、ポジションの評価をする際に基準となる価格をのことを言います。大引け後に発表されますが、必ずしも大引けの価格とはならないので注意が必要です。