これから相場をはじめようとする人の心構え。
正しい心構えを持って相場をはじめよう
相場で利殖を試みる人のほとんどが資金を減らして退場します。 その中には資金の全てを飛ばして強制退場させられる人もいるでしょうし、早々に自分には不向きと判断して自ら去る人もいるでしょう。 そのような様々なケースを合わせると、相場を張り続けられる人はほとんど居ないということになります。
これは偶然ではなく、そうなる必然性があるはずです。 私はその原因を相場に挑もうとする人のマインドセットにあると思っています。 間違ったマインドセットを修正することで、相場で生き残れる確率は各段に上がるはずです。
相場は甘くない
プロの世界というのは閉ざされたものであることが多いのですが、プロが鎬を削るマーケットは広く門戸を開いています。 相場は資金さえあれば誰でも参加でき、大した知識も必要なければ、準備も必要ありません。
相場に100戦100勝はありませんから、プロアマ問わず必ず負けます。 初心者がビギナーズラックで勝つことがあっても、それがずっと続くことはありません。 いずれ相場は甘くないという印象を持つことになるでしょう。ここが最初の分かれ道です。
- 相場の世界を諦める人
- 真剣に相場に取り組もうと考える人
正直な話、諦めるのが正解な気がします。理想は勝ち逃げです。相場の技術習得が一朝一夕にはいかないことは多くの相場関連の書物で共通して言われることです。 そして、途中で諦めずに利益を安定して得られるようになった人にしかその恩恵はないのです。 途中で諦めた人はすべからく資金を減らして相場を退場する95%にカウントされることになります。
相場の勉強
相場はそんなに甘いものじゃないと理解して、より真剣に取り組むようになる人は多いはずです。 95%が退場するのですから、ここまでは言わば想定しておくべき話です。
ここからの状況が、素人が相場に挑む時に想定できていないであろうものです。 相場に真剣に取り組もうと思ったら、普通の人は勉強をしようと思うでしょう。 これは間違いではないのですが、泥沼への第一歩となりえる考えなのです。
そもそも勉強とは何でしょう。強く勉めるという言葉からも、苦労して知識を学ぶというのが本来の意味なのでしょうが、 子供の頃の勉強といったら、何かを学ぶというよりテストで良い点を取るためのものだった人が多いはずです。
そこには、勉強をすれば良い点数、勉強をしなければ悪い点数という当たり前の法則があり、 相場でも同じように勉強をすれば相場での良い成績、つまり、利益が得られると考えがちです。 しかし、現実はその真逆となるのです。
要するに、勉強すればするほど負けが重なり、損失が膨らむのです。
間違ったマインドセット
間違ったマインドセットとは、勉強すれば、努力すれば、それが成果に直結するという考えです。 それはまた正解があるという考えでもあります。
テストが絡む勉強では、問題があり正解があります。出題者は回答の成否を判断せねばなりませんから、これが正解というものが必ずあります。 従って、正しい知識を身に付ければ、必ず正解にたどり着けるのです。
しかし、相場の世界では絶対の正解が無いケースがほとんどです。 相場の世界には様々な考えや理論がありますが、そのどれもが100%ではありません。 しかも、たまには間違えるといったレベルではなく、60%がいいところです。 つまり、1回のトレードに関して言えば、知識、技術、手法などよりも、運の影響の方が大きいと言えます。
学校の勉強のように相場の勉強を捉えて、知識を吸収するとどうなるでしょう。
学んだ知識を携えて実践に臨むといつか必ず負けます。そうすると、その知識を使い物にならないと簡単に判断してしまうのです。 学校のテストでは、間違えは間違えでした。別のテストで同じ問題に同じ回答をしたら今度は正解なんてことはありません。
学校の勉強と同じマインドセットで相場に臨むなら、使い物にならない知識には別れを告げ、新たな知識獲得に乗り出すことになるでしょう。 多くの場合、知識は判断の基準となりますが、上辺だけの知識吸収を続けるとその分基準が増えることになるのです。
その結果、無数の基準から自分に都合の良いものを選択することになります。 何をしたところで勝つこともあれば負けることもあるという現実に変化はなく、 明確な基準が無い状態で負けを経験する度に何を信じて良いか分からなっていくのです。
このループは、チャート、インジケーター、時間軸、金融商品と対象を変えながら繰り返されます。
正しいマインドセット
知識を深めることで、物事の良し悪しの判断が付くようになり、これを見識と言います。 正しいことが分れば後はそれを繰り返すだけですが、それでも人は意図せずに誤ったことをしてしまうのです。
後から誤りに気付くという経験を何度もすることで、事前にその過ちを察知し避けることができるようになります。 それでも別のことでまた誤ったことをしてしまい失敗します。
そうやって、失敗と成功を何度も繰り返し経験することで胆力が磨かれます。 胆力が付き、欲望や恐怖といった感情を排することが出来てようやく技術が身に付いたとなるのです。
相場で利益を上げるのに必要なのは知識ではなく技術です。そして技術も使いこなせなければ利益にはつながりません。 こういったプロセスは学校の勉強より、スポーツや楽器の演奏に近いでしょう。 本を読んだだけでプロスポーツ選手になった人はいないのです。
自らの経験から見識を得る人もいれば、本などから見識を得る人もいるでしょう。ですから、相場の勉強が一概に悪いとは言いません。 しかし、利益を得られるようになれるかどうかは、その先のプロセスにあるのです。