雲を中心にチャートを見たときのパターン認識。
2021年3月6日
一目均衡表
TradingViewでも内蔵インジケーターとして用意されている一目均衡表。「Ichimoku Cloud」で検索すると出てきます。
あまりシンプルとは言えないインジケーターで、これをチャートに表示するといくつもの線が描写されます。 それぞれのプロットの計算式は以下のようなものです。
基準線 | 過去26日間の高値と安値の平均 |
転換線 | 過去9日間の高値と安値の平均 |
遅行スパン | 当日の終値を26日遅らせたもの |
先行スパン1 | 基準線と転換線の中央値を26日間先行させたもの |
先行スパン2 | 52日間の高値と安値の中央値を26日間先行させたもの |
雲 | 先行スパン1と2の間の範囲 |
今回は「雲」に焦点を当てます。とは言っても、雲の計算には他5の内の4つが関係してきますので、 順に見ていきます。
基準線
日本で生まれた一目均衡表がプロットするいくつものラインの中で、最も重要なものが「基準線」です。
この基準線は、西洋人の視点からだと「Donchian Channels」に見えるようです。
Donchian Channels
Upper channel | 期間Nの最高値 |
Middle Channel | UpperとLowerの平均 |
Lower Channel | 期間Nの最安値 |
「Middle Channel」が一目均衡表の基準線に相当します。 移動平均線と同じように、この線が上向いていれば上昇トレンド、下がっていれば下降トレンドという見方ができます。
転換線
期間Nを基準線より短くとったものが「転換線」です。
基準線と転換線の関係は、移動平均線の短期と長期の関係に似ています。 どちらも「クロス」を見ることで、相場の転換点を見出すからです。
遅行スパン
ローソク足ではなく、終値のラインプロットを引きます。それを左にずらしただけのものが「遅行スパン」です。
極めて単純なもので、これで何が分かるのだという感じですが、この線こそが一目均衡表を奥深いものにしている正体だといっても過言ではないでしょう。
今回は深く踏み込みません。
先行スパン1
「先行スパン1」のもとになっているのは、基準線と転換線です。これらの中央値を取り、さらに右にずらします。
つまり、チャートの現在の時刻より先の未来に線が描写されることになります。
先行スパン2
基準線を求めた期間の2倍ほどの期間の高値と安値の中央値を取り、さらに右にずらしたものが「先行スパン2」です。
雲
先行スパン1と2の間のエリアを「雲」と呼び、一般的には「抵抗帯」と解釈されます。 期間の異なる移動平均線を複数描写したときに現れる「帯」と同様の性質を持つものです。 薄い雲より、厚い雲の方が抵抗として強いという見方ができます。
さて、ここからが本題です。
この雲を中心にチャートを見たとき、そこに描かれる値動きは2つに別けられます。
トレンドフォローの立場では、 雲から離れる動きは「トレンド波」であり、狙うべき動きです。 逆に、雲に向かう動きは「調整波」であり、見送る動きになります。
調整波は、その値幅が一定の範囲に収まっているから調整波なのであって、その動きがずっと続いてしまえば調整波とは言えません。
つまり、雲に向かう動きは2種類あることになります。
やっかいなのはこの「雲を突き抜ける動き」です。下のチャートのように結構大きい動きになったりするのです。
「雲に向かう動きは見送る」をルール化してしまうと、この動きは取れません。
雲を突き抜ける動き
このような動きも狙うなら、「雲に向かう動きは見送る」を基本とし、これに例外を設ける必要があります。
雲が薄い
雲の厚みはそのまま抵抗の強さと考えることができますから、「薄い雲」が例外条件の1つになります。
また雲は、拡散、収縮、反転を繰り返しますので、厚みを増す雲より、薄くなってきている雲の方が、突き抜ける可能性は高まります。
さらに、先行スパン1と2ののどちらが高いかで雲は2種に別れますので、この辺りに注目してみるのもおもしろいかもしれません。
雲までの距離
抵抗には、そこで反発しやすいという特徴があります。 それは、多くの人が注目する価格帯であり、多くの人がアクションを起こす価格帯だからです。
これは逆に言うと、その価格に到達するまでは動きづらいということになり、マグネット効果が生まれます。
マグネット効果とは、ある価格帯に吸い寄せられるような動きを見せる傾向です。 雲までの距離があれば、向かう動きでであっても期待値はプラスになるはずです。
トレンド転換の兆候
雲に向かう動きが、そのまま雲を突き抜けるのは、それが調整ではなくトレンドの動きだからです。
しかがって、トレンド転換の兆候があることも、例外の条件となります。
雲の中の動き
上記のパターンに当てはまらない状況として、「雲の中での値動き」があります。 これも「手を出さない」というのが基本になりますが、あえて狙うのであれば、
の2つになるでしょう。