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デイトレの後講釈

後から解釈して、結果論をもっともらしく語るのが後講釈。後からの解釈の部分は「復習」でもあります。


2021年3月6日

後からなら何とでも言える

「後講釈」という言葉があります。 結果が出たあとで、「〇〇〇すべきだった」なんて言い出す人に対する皮肉の表現ですから、あまり良い意味で使われない言葉です。

英語だと、「Monday Morning Quarterback」という表現を使うそうです。 日曜のアメフトの試合について、結果がすでに出た月曜の朝に、自分が一流のクォーターバック(ゲームの指揮官役)であるかのごとく批評を行う人という意味です。 やはり、良い意味ではありません。

相場でも、出来がったチャートに対し「ここはインジケーターが指し示す通り、反転のサインだった」といった後解釈がよく行なわれます。

なぜ利益を得られたかを説明する

後解釈は、利益の出たトレードに対し行われることがほとんどのようです。 一貫したトレーダーであれば、損失が出たトレードに関しても同様の後解釈ができるはずですが、こういうのはあまり見かけたことがありません。

「〇〇〇という理由でエントリーしたが、ロスカットで終わった。これは損失となったが正しいトレードだった。」

後講釈には「自慢したい」という心理が働いていそうですから、こういうのじゃダメなんでしょうね。 「損失が出ても正しい」は自己満足に近いもので、「結果がすべて」と考える人には何も響きませんから、自慢にもなりません。

感情によって行動し、後から理由を探す

トレードには4種類あります。

  1. 正しいトレードをして利益が出る
  2. 正しいトレードをして損失が出る
  3. 間違ったトレードをして利益が出る
  4. 間違ったトレードをして損失が出る

この内、後講釈の対象になるのは1番と3番です。おそらく後講釈をする人は、トレードにこういった区別があることを理解していません。「正しいトレード」という基準が無く、損益だけがトレードの評価基準です。

利益が出たのが偶然では自慢にならないわけで、それが実力であることの証明として、 後から「なぜ利益を得られたか」という理由付けをすることになります。

「感情によって動き、後から理由を探す」を日常的に行っているのが人間です。 その時々に合ったもっともらしい理由を探すのですから、理由に一貫性はないでしょう。

後から解釈すべきは1回のトレードではない

1回のトレード結果は運です。いくら1回のトレードにもっともらしい理由を付けたとしても、その結果は偶然というのが本当のところです。

袋に赤のボールが7個、白のボールが3個入っていたとします。袋に手を突っ込んでボールを1つ取りだします。

赤が利益、白が損失の例えだとすれば、トレードは正にこのようなものになります。赤が出る可能性が高いから、エントリーする。 その結果、白が出たとしても運が悪かったと思うだけでしょう。

なぜ白ではなく、赤を引くことができたのか

結果にはどうしても運の要素が付きまといますから、結果で自分の行動を評価するべきではありません。 注目すべきは結果ではなく、「状況の偏り」の方です。

相場の上級者は1回のトレードの損益に特段の関心を持ちません。 見ているのは何度も何度も同じトレードを繰り返した結果です。

したがって、注意を払うのは、そのトレードが自らのルールに合致したものかどうか。感情的なトレードをしていないかのチェックです。 上の例え話で言えば、赤に偏った状況でエントリーしているかの確認となります。

「赤に偏った状況」というのは、エントリーした根拠にはなっても、赤を引けた理由にならないことに注意してください。 「赤に偏っていたから、赤が引けた」は結果論であり、「赤に偏っている状況で、白を引く」ことは普通にあり得るからです。

1回のトレード結果が利益になったとして、後講釈でも何でも、その理由を考えることに意味はありません。 意味があるのは、自らのトレードルールが期待値プラスであることを、過去データにより証明することです。

後からの説明

それでも、特定のエントリーの理由を尋ねられれば、上級者は明確に答えられます。 「ルールに従った」では相手に伝わりませんので、それなりの理由を答えてくれるでしょう。

ただし、その理由は上級者以下の後講釈と性質が異なります。 エントリーの根拠は、利益が出たときも損失が出たときも同じもので、一貫性があるのです。

エントリーの根拠は、その結果が出る前に決まっています。結果が出た後から、その理由を探すわけではないので、一貫性があるのです。

その陰には、ルールに合致した動きになったにも関わらず、エントリーを見送った状況もあるかもしれません。 裁量トレードの場合、これがあり得ます。見送った理由は、その時々によって異なり、一貫性が無いかもしれません。

復習しているから後講釈もできる

1回のトレードに対する後講釈は無意味です。しかし、後講釈という行為自体がまったくの無意味だとは言えません。

出来上がったチャートを分析し、結果論を偉そうに語れば後講釈です。 しかし、チャートの分析が、人に自慢するためではなく、自分のトレードに活かすためなら、それは「復習」になるからです。

  • 予習
  • 実戦
  • 復習
  • 相場の取り組みには3つあり、復習はその内の1つ。欠かすことのできないものです。

    後講釈は理由の後付けですが、過去チャートを分析することで、「なぜ利益を得られたのか」を考えることになります。 これは「状況の偏り」を認識するための切っ掛けとなるものです。

    これらは復習の目的の1つです。つまり、復習していることにもなるのですから、実戦オンリーの人より全然マシだと言えるでしょう。

    後講釈のポイント

  • その判断がリアルタイムでも出来るのか
  • 判断に一貫性があるか
  • 後講釈のポイントをあげるなら、この2つが思い浮かびます。

    後から解釈できることと、リアルタイム(実戦)で解釈して実行に移せることの間には大きな隔たりがあります。 振り返ってみると、「なんでこんな所でエントリーしたんだろう」というトレードが多く見つかるのが、その証拠です。

    リアルタイムでの判断は、「予習-実戦-復習」のサイクルを何度も回すことで次第にできるようになってきます。

    過去チャートを振り返らずには後講釈はできませんから、これは復習をしていることになります。 繰り返し復習を行い、パターンの認識精度を上げ、事前のトレードプランに落とし込むこと(予習)が必要です。

    そして、実戦においてトレードプランに従ったアクションを取れば、判断と行動に一貫性が生まれます。

    判断に一貫性がないのであれば後講釈どまりですが、そこから一貫性を身につけられれば話は変わってくるのです。

    後講釈が許されるのはリスクを取っている人だけ

    初心者は結果が出た後からであっても正しい解釈はできません。正しい解釈ができるのは、勉強をしたからです。

    勉強がインプットであれば、後講釈はアウトプットになります。 相場の言語化の良い練習になりますし、誰でも情報発信ができる時代なのですから、後講釈でもなんでもガンガンやれば良いと思います。

    ただ、一貫性が無い、もしくは自分がリアルタイムで出来ないことを偉そうに発信していれば、自分の評価を落とすことにもなるので、注意が必要です。

    それと、後講釈が最も嫌がられるのは、本人がリスクを取っていないケースです。 リスクを取っている人間からすれば、言うだけなら何とでも言えるという反応になってしまいます。

    後講釈が許されるのはリスクを取っている人だけ。これも押さえておきたいポイントです。

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