今から2500年ほど昔。ギリシャのタレスは、オリーブで大儲けをしたという。
2021年9月7日
オプション売買とは
オプションという言葉は、日本語では「追加的な要素」といった意味で使われることが多いように思います。 しかし、本来は「選択可能なもの」という意味であり、金融商品のオプションも「選択権が付いた金融商品」です。
では、何を選択できる権利があるのか? それは「原資産を、一定の条件で買う、または売ることのできる権利」です。 原資産そのものではなく、そこから派生した「権利」を売買するのがオプショントレードということになります。
「権利」ですから、権利所有者にはその権利を行使するかどうかの自由があるので、
- 権利を行使して、原資産を買う、もしくは売る
- 権利を行使しないで、権利自体を売買する
の2つが選択可能であり、一般的には変動する権利価格から利ザヤを抜こうとするのがオプショントレードと呼ばれるものです。
古代ギリシャの話
古代ギリシャの哲学者であったタレスには、ある伝説があります。 なんでも、今から2500年も前にオプション取引で財を成したんだとか。 この話を聞くと、オプションとはどのようなものかイメージできるでしょう。
タレスの話
タレスという人は哲学者でありながら、数学者でもあり、天文学者でもありました。 そんなタレスには天才的な頭脳を使ってオリーブ油の商売でひと財産築いたという逸話があります。 その方法がまさにオプション売買そのままなのです。
オリーブの収穫時期になると、生産者はオリーブの実から油を搾り取る機械を使ってオリーブ油を作ります。 この搾り機は非常に高価なもので、所有するのではなくレンタルするのが一般的でした。 豊作の年は搾り機の需要は増すわけで、レンタル料金はその年によって異なります。
天文学者でもあったタレスは、その知識から次のシーズンの大豊作が予想できました。 そこで、オリーブ油の搾り機を貸し出す業者を回って交渉を行い、「収穫期にある金額で搾りをを借りることが出来る権利」を大量に取得したのです。
話を分かりやすくするために大幅に脚色していきます。 オリーブ油の搾り機のレンタル料は、シーズンによって異なるものの、1日10000円から20000円ぐらいの間で推移してきました。 平均すると15000円、不作の年は10000円で、豊作の年は20000円といった具合です。
「1日14000円でオリーブ油搾り機を借りる権利を1000円で売ってみる気はない?」
タレスはこんな提案を業者にしました。こんな提案をいきなり受けても、普通は「この人は何を言ってるんだ」と思うはずです。 だから、この取引の持つ意味合いを懇切丁寧に説明したことでしょう。
「次のシーズンが不作となった場合、君は搾り機1台を10000円で貸し出すことになる。 私の持つ権利は14000円で借りることであり、10000円で借りられるところを14000円払う奴なんかいないから、当然私はこの権利を行使しない。 ただし、権利に対し支払った1000円は君の懐に入ったままになるので、実質11000円で貸し出せたことになる」
タレスの交渉
話をシンプルにするために3つのケースをだけを考えてみます。不作のケースは上記の通りですので、豊作と平均のケースを見てみます。
豊作であった場合、レンタル料は20000円を付けることになります。 権利を行使されると、これを15000円で貸し出さねばならず、5000円損することになります。 ただし、権利を売った代金の1000円があるので損失と相殺され、最終的な損失は4000円となります。
次に平均的な収穫高だった場合です。このケースではレンタル料は15000円となります。 権利行使されると14000円で貸し出さねばならずに1000円損しますが、権利の売却代金として1000円もらっているので、これと合計すれば15000円。 例年通りだった場合、損も得もありません。
将来の見込みが立たないことは、商売人によって気苦労のもとです。 豊作となって大儲けできることが無くなる代わりに、不作となって頭を抱えることになる事態は避けられる。 「権利を売ってくれ」なんて訳わからないことを言われたが、よく話を聞いてみると悪くないかもしれないな。 提案された業者はこんなことを考えたかもしれません。
収穫期が来て
貸出し業者は、次のシーズンの豊作は予想できていません。 不作となって、搾り機の需要がまったくないという事態も想定するわけです。 そのリスクを回避するためにも、妥当な金額であれば、タレスの申し出を受けることも吝かではありませんでした。
そして収穫期が到来すると、タレスの予想通りオリーブは大豊作となります。 どの生産者も搾り機が必要で、搾り機は引く手あまたとなったのでした。
タレスはシーズン前に仕込んでおいた「権利」を生産者に高く売ることで、莫大な利益を得たということです。 普通ならレンタルに20000円支払わなくてはいけないところ、タレスから「14000円で借りる権利」を5000円で売ってもらえば、 実質19000円で搾りをを借りることができるのです。タレスの視点で言えば、1000円で買った権利を5000円で売れたということになります。
こうしてタレスはオリーブの木も、オリーブ油の搾り機も所有することなく、「権利の売買」だけで財を成したのでした。
権利は守られるのか
業者の立場とすれば、本来得られるはずだった利益を失ったものの、最大損失の減少というメリットがあったので、win-winの取引だったのかもしれません。
しかし、それで納得しない業者もいるでしょう。 この話は「約束がしっかりと履行される」というのがポイントです。
「収穫期にある金額で搾り機を借りる」という約束は、シーズン前に成されました。 いざ収穫期となって大豊作が確実となった段階で、貸出し業者が「やっぱ、あの話は無しで」なんて言い出したら、どうなるでしょうか。 どうしても約束を強制させる「力」が必要になるのです。
ですから、仕組みと環境が整うまで「オプション売買」が活況となることはなかったのでした。 タレスの時代から2500年後。マーケットが洗練された現代において、オプションはメジャーな金曜商品の1つになっています。
近現代の話
17世紀初頭、オランダのチューリップ取引においてコールオプションが売買されていたという記録があります。つまり、「買う権利」の売買です。 プットオプション「売る権利」が生まれたのは19世紀の初期のアメリカでした。
この時代のオプションはまだ取引の対象にはなっておらず、1対1の契約として用いられていました。 当時の売り手と買い手は、新聞の広告欄などを通じて連絡を取り合い、個別に契約を結んでいたのです。
1934年の大恐慌以降、オプションの必要性に着目する人も出始めたようですが、それが花開くのはまだ先のことでした。
1960年代の後半になって、シカゴ取引所(CBOT)がオプションの研究に乗り出します。 下火になっていた商品取引の状況を打開するために、オプションマーケットの整備に着手したのです。
1973年4月26日、シカゴ・オプション取引所(CBOE)をオープンし、株式16銘柄のオプションの売買をスタートさせました。 華々しい船出といった感じではなく、当時のCBOEはシカゴ取引所の禁煙室の一角だったそうです。
翌1974年には、1日の平均契約数が20万件を越えるまでに急成長。その後も順調に市場は拡大していきます。 それでもまだまだ「プロの世界」の話です。
先物などと同じように、個人トレーダーが投資対象の候補を考えられるなったのは、インターネットが広く世界に広まった2000年以降です。
再びタレスの話
ざっと現代までのオプションの歴史を見たところで、再びタレスの話に戻ります。この話を現代のオプションと比較してみたいと思います。
どんな業界であっても、その関係者にとって業界の未来は気になるところです。 タレスの話で言えば、次のシーズンのオリーブの収穫高がどうなるかです。 その見込みによって各人が動きます。言わば「ファンダメンタルズ」です。
オリーブ油の搾りきの貸出し価格。シーズンによって多少のばらつきはあるにしても、大体の価格はあったはずです。 これが大元になる「原資産価格」となります。
タレスが自らの予想に基づき算出した適正な貸出し価格。 つまり、まだどうなるか分からない次の収穫期に搾り機のレンタル料金として提示した額は、「行使価格」と言えます。
タレスと貸出し業者との間の約束において、タレスが前金を支払っていたとすれば、その価格は権利の購入に対する支払額ですので、「オプション価格」なとなります。
その約束が次のシーズンの収穫期限定ということであれば、収穫期が「満期日」に当たるでしょう。
収穫期が近づくにつれ、そのシーズンが豊作となるのか不作となるかの予想確度は増します。 当然、遠い未来よりも近い未来の方が予想しやすいわけです。時間の経過により将来の不確実性は減っていきます。 この不確実性のことを「ボラティリティ」と言います。
ボラティリティが低い場合、この話の流れで言えば、オリーブ油の貸出し料金に
次のシーズンのオリーブの収穫予測がまったくつかない状況では、同様にオリーブ油の貸出し料金の予測もつきません。 もしオリーブが不作となった場合、搾り機貸出し業者の売り上げは大きく落ち込むことになります。 これを避けるために、ある程度の金額で手を打っておくというアクションは妥当かもしれません。
しかし、ある程度豊作の見込みが立っていたらどうでしょう。
ある程度の額で妥協することは、本来得られていたであろう利益を失うことになります。
オプションの基礎知識
オプションとは、原資産(株式などの有価証券や商品) を将来の特定の期日(満期日)にあらかじめ定められた価格 (行使価格)で購入または売却することが可能な権利のことです。
この権利をトレード対象とするのがオプショントレードです。 オプションの価格は変動するからこそトレードの対象となるわけですが、原資産からの派生商品であるオプションは当然その原資産の値動きの影響を受けます。
であるなら、オプションをトレードしたければ原資産についても詳しく知っている必要があるわけです。 これがオプションの世界が他の金融商品よりも敷居が高い原因です。
原資産
オプションの原資産になるものは色々あります。
- 株式指数
- 個別銘柄下部
- 商品(コモディティ)
日本限定で考えると、実質の選択肢は日経平均先物を原資産とするオプションのみでしょう。 この日経225オプションは「先物オプション」というジャンルになります。
株式やETFあるいは株価指数などの現物が原資産の場合は「現物オプション」と呼ばれます。
コールとプット
- Call Option
- Put Option
上記のオプションの定義において、購入する権利をコールオプション、売却する権利をプットオプションと言います。
コールオプションは買う権利ですので、原資産価格が上昇すると、それに伴って価格が上がります。 「安いうちに買う権利を押さえておく」ことで、資産の値上がりシルクに備えることができます。
プットオプションはこの逆です。 売る権利ですので、原資産価格が下落すると、それに伴って価格が下がることになります。 「高いうちに売る権利を押さえておく」ことで、資産の値下がりリスクに備えることができます。
どちらもコストを支払って不確実性に備えることになりますので、「保険」と似た役割を果たします。
オプションの売買
オプショントレードで取りうるアクションは4つ。
- 買う権利を買う
- 買う権利を売る
- 売る権利を買う
- 売る権利を売る
ただし、「買う」には新規の買いと売り建ての解消の意味を持つ買いがあります。 「売り」も同様に、新規の売り建てと決済の売りがあります。 それらを考慮に入れると合計8つのアクションがあることになります。
オプションの価格のことを「プレミアム」と言ったりします。権利を買う、つまりロングする場合は、このプレミアムを支払います。 逆に、権利を売るときは、つまりショートする場合は、プレミアムを受け取ることになります。
これも真逆のことに見えますが、ロングの場合はオプションの権利を行使するか放棄するかの選択減がありますが、ショートの場合は買い手の権利行使に応じる義務を負うという違いがあります。
3つの価格
オプションの世界には3つの「価格」が存在します。
- 原資産価格
- 権利行使価格
- オプション価格(プレミアム)
権利行使価格は、「満期日において、いくらで権利を行使できるか」を表した価格であり、オプション自体の価格とは別物です。
この内、原資産価格と権利行使価格との関係を表す言葉に「マネーネス」という言葉があります。 これは原資産価格と権利行使価格との「接近度合い」を表すもので、「お金になりやすさ」を意味します。
マネーネス
Call Option | Put Option | |
IN THE MONEY (ITM) | 原資産価格 > 行使価格 | 原資産価格 < 行使価格 |
AT THE MONEY (ATM) | 原資産価格 = 行使価格 | 原資産価格 = 行使価格 |
OUT OF THE MONEY (OTM) | 原資産価格 < 行使価格 | 原資産価格 > 行使価格 |
OTMの状態から原資産価格が行使価格に近づくほどオプション価格(プレミアム)は上昇し、ATMを越え、ITMが深くなるほど更にプレミアムは上昇します。
言い換えるなら、
- ITMは権利行使をしたときに利益の出る状態
- ATMは権利行使をしたときに損益がゼロの状態
- OTMは権利行使としたときに損失が出る状態
と言えます。これはオプションの価値を構成する要素の1つである「本質的価値」の話です。
オプションの価値
オプションの価格(プレミアム)は、オプションの「本質的価値」と「付帯的価値」の2つによって決まります。
オプションの価値 = 本質的価値(Intrinsic Value) + 付帯価値(Extrinsic Value)
本質的価値
本質的価値は、行使価格と原資産価格との差額により生まれるものです。
プットとコールでは計算方法が異なります。
コールの本質的価値 = 現在の原資産価値 - 権利行使価格
プットの本質的価値 = 権利行使価格 - 現在の原資産価値
付帯的価値
付帯価値は、「時間価値」と「ボラティリティ」の2つから成り立っています。 本質的価値がその性質上もともと備えている価値であるのに対し、付帯的価値は外から与えられた価値です。
付帯価値 = 時間価値 + ボラティリティ価値
時間価値とボラティリティ価値は理屈の上では以下のように定義できます。 ただし、付帯的価値を2つに別けてそれぞれいくらかを正確に計算することは出来ません。
時間価値 = オプションの価格 - 本質的価値 - ボラティリティ価値
ボラティリティ価値 = オプションの価格 - 本質的価値 - 時間価値
オプション価格を決定する要素
オプションの価格を決定する要素は4つあります。
- 原資産価格
- 権利行使価格
- 満期日までの時間
- ボラティリティ
オプション価格(プレミアム)は、これら4つの要素の
- 原資産価格の値動き
- 原資産価格と権利行使価格との接近度(マネーネス)
- タイムディケイの進行
- ボラティリティの度合い
に影響されて変化し、オプション価格自体の値動きを形成していくことになります。
原資産価格と権利行使価格
原資産価格の値動きがオプション価格に与える影響には2つあります。
原資産価格そのものの値動き
原資産価格の方向性が、強気(Bullish)なのか、弱気(Bearish)なのか、中立(Neutral or Sideway)なのか。 また、それぞれの方向性の強さ(値幅)がオプション価格に影響を与えます。
原資産価格と権利行使価格との接近度合い
原資産価格が権利行使価格に近づいているのか、それとも乖離しているのか。また、接近や乖離の度合いもオプション価格に影響を与えます。
マネーネス
マネーネスは文字通り「お金になりやすさ」を表します。 オプションの場合、この「お金になりやすさ」は、満期日においてITMで終わる可能性とイコールです。
オプションは「ヨーロピアンオプション」と「アメリカンオプション」の2つに別れます。日経225はヨーロピアンオプションです。
- ヨーロピアンは満期日(行使期間の最終日)にのみ権利を行使できるオプション
- アメリカンは満期日(行使期間の最終日)以前にいつでも権利を行使できるオプション
ヨーロピアンオプションの場合であれば、取引最終日(満期日)において、検視行使による割り当て(Exercise)が行われ、県資産価格と権利行使価格との砂金が決済されう可能性が高いということになります。
アメリカンオプションの場合であれば、オプションの満期日までの期間中に早期割り当て(Early Exercise)が行使されやすいという意味になります。
マネーネスには、原資産価格と権利行使価格との相対的な位置関係により、以下の3つの状態があります。 お金になりやすさは、ITM > ATM > OTMの順です。
- OTM(Out of The Money)
- ATM(At The Money)
- ITM(In The Money)
タイムディケイ
変動するある商品の価格が特定の金額に達するかどうか。こういった問題を考える時、時間(期間)と変動率が重要になります。 当然、期間が長く、変動率が高いほうが、その金額に到達する可能性が高まるでしょう。
オプション価格(プレミアム)は、満期日が近づくほど時間価値が失われるので安くなっていきます。 これをタイムディケイ(時間経過によるオプションの時間価値の減衰)と言います。
ここで重要なのは、期間が半分になれば時間価値も半分になるという関係ではないことです。 時間価値は満期日が近づくにつれ、減価する割合を増していくという特徴があります。
かなり先の未来にオプションがITMになるのか、それともOTMになるのかを予測するのは難しいことです。 しかし、満期日が近づいてくると、「さすがに残り〇日で、この値幅を達成することは現実的ではない」という見込みが立ってきます。
こういった見込みは時間が経過するほどに確信度合いがぐんぐん増していきます。 これはつまり、オプションの時間価値がぐんぐんと減っていくことを意味しているのです。
進行度合い
いかなるオプションもタイムディケイによる減価は避けられません。 そして、いったん減価した価値が回復するはありません。 時間は未来に向け進み続けているのはこうなります。
しかし、タイムディケイの進行度合いは、マネーネスによって異なります。 つまり、タイムディケイの影響を受けやすいオプションとそうではないオプションがあるのです。
まず、期先においてはマネーネスによるタイムディケイの進行度合いに大きな差は生まれません。 そして、期近に比べると期先のオプションのタイムディケイの影響は小さなものです。
満期が近づくにつれタイムディケイの減価率は増していき、それが顕著になるのは満期まで60日から30日前になる頃です。 この辺りから、マネーネスの違い(ITM、ATM、OTM)により、タイムディケイの影響力に差が出てきます。 特に満期日にITMになりそうもないオプションではその影響力が大きくなります。
ITMが確実なオプションも、タイムディケイの影響が増していきます。 これは、投資家が「本質的な価値に比べて時間価値が割高である」と割り引いて評価するためであると考えられています。
まとめると、満期日にITMになりそうかどうか明らかであるほど時間価値は減衰し、不確実であるほど時間価値は下げ止まるということになります。 どっちに転ぶかわからないATMのオプションのタイムディケイの進行が遅いのはこのためであると考えられます。
敵か味方か
時間価値は非可逆的に減衰していくという性質があります。その分、オプション価格は下がっていくわけです。 その意味では、タイムディケイはショートポジションにとっては味方であり、ロングポジションにとっては敵である言えます。
ボラティリティ
ボラティリティ(volatility)は、「〔価格などの〕不安定さ、変わりやすさ、変動性」という意味です。 つまり、オプション価格(プレミアム)がどのぐらい変動しやすいかを表します。 あくまで動きやすさを言うもので、その方向性については関知しません。
ボラティリティはパーセントで表現されます。ベースにあるのは正規分布の考えです。 30%であれば、1標準偏差つまり68.26%の確率でプラスマイナス30%の範囲に収まるだろうという意味合いです。 100であれば、70から130の間に2/3程の確率で収まるだとうといった感じです。
ボラティリティが高ければオプション価格は高くなり、低ければ安くなる傾向があります。
種類
- ヒストリカル・ボラティリティ(Historical Volatility)
- インプライド・ボラティリティ(Implied Volatility)
- リアライズド・ボラティリティ (Realized volatility)
ヒストリカル・ボラティリティは、歴史的変動率とも言われ、過去の相場データに基づいて日々の原資産価格の変化率の平均値を計算したものです。 過去のデータに基づき今後の市場レンジを予測する指標の役割を果たします。
インプライド・ボラティリティは、予想変動率と呼ばれます。ブラック・ショールズ式を使って、現在のオプション価格(プレミアム)から逆算して算出されます。1年での変動幅がどう予測されているのかを表しています。言い換えると、現在のマーケットのセンチメント(市場真理)示す指標だと言えます。
リアライズド・ボラティリティはそのまま現在実現しているボラティリティです。
インプライド・ボラティリティ
3つのボラティリティの中で最も重要なのは「インプライド・ボラティリティ(IV)」です。 インプライド・ボラティリティはブラック・ショールズ式に下記の5つの数値を代入して計算されます。
- 現在の原資産価格
- 権利行使価格
- ヒストリカル・ボラティリティ
- 満期日までの日数
- 金利
アウトプットは理論価格となる。 実際で市場で取引されているオプション価格からボラティリティが逆算でき、これが個別のオプションのIVとなる。
また、取引の多いATM周辺のIVを平均化したものが、マーケットの状態を表す代表値として使われることもある。 これもIVとして扱われるので混乱しやすい。