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相場のリズムは移動平均線で分かる

裁量トレーダーの皆さん、チャートを見るときに相場のリズムを意識していますか?


2021年3月15日

リズムと捉える

相場にはリズムがあります。このリズムを捉えられるようになると、トレードの勝率は間違いなく上がります。

初心者が「上がりそうだ」と漠然と思うときは、価格変動を目の当たりにして感情が揺さぶられていることが大半です。 一方、熟練のトレーダーが「上昇しそうだ」と思うときは、相場のリズムを感じ取っていたりします。

初心者が熟練トレーダーのような感覚を得ることは難しいことです。 飛び抜けたセンスや長年の経験が必要になるからです。

リズムをビジュアル化する

何だか分からないモヤモヤとした相場のリズムも、視覚情報に変換してやれば、初心者であっても簡単に認識することが可能になります。

今回、リズムをビジュアル化するのに使うのは「移動平均線」だけです。たかが移動平均線、されど移動平均線。 使い方ひとつで色々なものが見えるようになります。

移動平均線で相場を分類する

基礎的な内容が続きますので、リズムを捉える方法を手っ取り早く知りたい方は下記までジャンプしてください。

➡ 等間隔の移動平均線

移動平均線の基本的な見方

まず、移動平均線による相場のパターン分類を確認しておきます。

移動平均線だけに注目した場合、

  • 移動平均線が右肩上がりになっているときの状態を「上昇トレンド」
  • 移動平均線が右肩下がりになっているときの状態を「下降トレンド」
  • 移動平均線が横向きになっているときの状態を「トレンドレス」

の3つに分類することができます。これが移動平均線の最もシンプルな解釈です。

相場を4つに分類する

移動平均線の傾きだけでなく、「価格の位置」も考慮に入れた場合、移動平均線の上にあるのか下にあるのかで相場を2つに分類できます。 さらに「値動き」を加えると、相場を4つの状態に分けることができます。

上昇トレンド
  • 価格が移動平均線の上に位置し
  • 移動平均線から離れていく動き
  • 押し
  • 価格が移動平均線の上に位置し
  • 移動平均線に向かっていく動き
  • 下降トレンド
  • 価格が移動平均線の下に位置し
  • 移動平均線から離れていく動き
  • 戻し
  • 価格が移動平均線の下に位置し
  • 移動平均線から向かっていく動き
  • トレンド波と調整波

    移動平均線から離れていく動きを「トレンド波」、向かっていく動きを「調整波」と言ったりします。

    トレンドフォロワーが狙いたいのはトレンド波の方です。調整波は見送り、次のトレンド波の発生を待つのが基本です。

    移動平均線の捉え方

    チャートに描写する移動平均線が1本だけだったら、判断は非常に簡単です。 しかし、複数の移動平均線を考えると途端に難しくなります。

    判断が相反する

    移動平均線は期間の平均を取るものですから、期間の取り方によって値は変わってきます。 短期と長期の2本の移動平均線を引いた場合、下記のように判断が分かれる状況が頻繁に起こります。

    短期の移動平均線
    • 価格は移動平均線の下に位置している
    • 移動平均線から離れていく動き
    下降トレンド(トレンド波)
    長期の移動平均線
    • 価格は移動平均線の上に位置している
    • 移動平均線に向かっていく動き
    押し(調整波)

    この場合、エントリーするか見送るか悩ましいところです。短期の移動平均線に従うなら、売るべき場面です。 しかし、長期の移動平均線に従うなら、売りでのエントリーは見送って、次の上昇トレンド発生を待つべきです。

    線ではなく帯として

    移動平均線の数を増やすほど状況は複雑になります。 また、それぞれの期間設定を変更すれば、まったく異なる状況に見えることにもなります。

    相場をシンプルに捉えたいなら、移動平均線の数を少なくすることです。 アメリカの有名な個人トレーデーであるAl Brooksは、期間20のEMAだけをチャートに表示するそうです。 彼はチャートをシンプルに保ち、プライスアクションに意識を集中します。

    ➡ Brooks Price Action

    これは情報量を制限するということでもあります。 人は情報量が多すぎると正しい判断が行えなくなります。 ですから、チャートに表示するインジケーターの数は、増やすより減らした方が良い結果に繋がることが多かったりするのです。

    情報量を減らすことは、別のアプローチでも達成可能です。 複数の移動平均線をそれぞれ個別の線と捉えるのではなく、1つの「帯」として捉える方法はどうでしょうか。 複数の情報が1つに集約されるのですから、情報量は大きく減るはずです。

    こちらが、今回紹介する「リズムを視覚的に捉える方法」になります。

    等間隔の移動平均線

    移動平均線の種類はあまり問いませんが、今回は加重移動平均(WMA)でやってみたいと思います。

    WMAを7本ほど引きます。7本の期間設定を等間隔にするのがポイントです。

    TradingViewを使っている人は下記のようなコードを書いてみると良いかもしれません。 コードを書くのが面倒な人は、移動平均線の種類を選択できるよう改良したものをTradingViewに公開したので、こちらを使用してみてください。

    ➡ Equally Spaced MA

    //@version=4
    study("7MA", overlay=true)
    
    length = input(defval=10)
    
    ma1 = wma(close, length)
    ma2 = wma(close, length * 2)
    ma3 = wma(close, length * 3)
    ma4 = wma(close, length * 4)
    ma5 = wma(close, length * 5)
    ma6 = wma(close, length * 6)
    ma7 = wma(close, length * 7)
    
    plot(ma1)
    plot(ma2)
    plot(ma3)
    plot(ma4)
    plot(ma5)
    plot(ma6)
    plot(ma7)
    

    日経225先物の1時間チャートに7本のWMAを表示してみます。期間は10刻みで10から70までの7本です。

    (画像をクリックすると全画面で確認できます)

    収束と拡散と反転

    MAの間隔が狭まったり広がったりを繰り返しているのが分かるかと思います。 7本のWMAを「帯」として見れば、収束と拡散を繰り返していると表現できます。 この「繰り返し」がリズムです。

    収束 ➡ 拡散 ➡ 収束 ➡ 拡散

    拡散の方向も考慮すれば、時に反転を挟みながら収束と拡散が繰り返されます。

    収束 ➡ 拡散 ➡ 収束 ➡ 反転 ➡ 拡散 ➡ 収束

    リズムのパターン

    繰り返しにもまたリズムがあります。必ずそうなるという訳ではなく、そうなりやすい傾向があるという話ですので注意してください。

    上に3回拡散して、反転して下に拡散から、また上に3回拡散するというのはよくあるパターンです。 これを波動で表現すると、5波動の上昇から3波動の調整を挟んで高値更新の流れになります。

    チャートを眺めることが習慣化しているトレーダーにとっては、これまで幾度となく目にしてきたパターンなはずです。

    まとめ

    移動平均線の帯が上に拡散しているときは強い上昇が発生しています。 「さすがに買われ過ぎ」と判断して、ショートしたところ担がれたというのはよくある話です。

    これは、「売りを検討するのは反転が確認されてから」というルールを作れば避けられます。 また、5波動目であれば、「反転する可能性があるかもしれない」と備えることもできます。

    移動平均線を複数並べただけのチャートですが、じっくり観察すると様々なものが見えてきます。

  • 反転はどのようにして起こるのか
  • 同じ方向への再拡散はどのようにして起こるのか
  • 上位や下位の時間軸では、どのようなことが起こっているのか
  • 拡散、収束、反転のリズムに法則性を見出せないか
  • このような点に注目しながら、自分がトレードする金融商品、時間軸で「等間隔に並べた移動平均線」を是非試してみてください。

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