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予断を排す

予想をせずにトレードする。


2022年1月8日

トレードの定義

トレードを一言で説明しろと言われたら、何と答えればよいでしょうか。以前の私なら深く考えずに「チャートから未来を予想して、上がると思ったら買い、下がると思ったら売る行為」などと答えていたかと思います。

ですが、この定義は私の感覚とズレていることに気が付きました。 そのきっかけは、先日記事にした「100分de名著」というテレビ番組です。

荘子第2回の一幕でゲストの玄侑宗久さんがこんな事をおっしゃっていました。

なるべく天気予報を見ないんです。天気予報を見ると、単に曇っていても「晴れるはずだったじゃないか!」ってムっとくるでしょ? それって余計な気分じゃないですか?

トレードの話に無理やりするなら、上がると予想するから下がってガックリくるといった感じでしょうか。 はじめから予想しなければガックリくることも無いわけで、このガックリが余計な気分です。

仏教には「苦(unsatisfactoriness)」という言葉があります。 日本語の「苦しい」とはニュアンスが異なり、「思い通りにならない」ぐらいの意味だと認識しています。

いくら予想を立てて行動を起こしても、相場はそんな予測はお構いなしに動きます。つまり、相場は思い通りに動いてくれないわけです。 新米トレーダーは何とか予測の精度を上げようと奮闘しますが、何をやったとしても相場は思い通りには動いてくれません。

方法を間違っているのだから、「苦」から逃れることはできないのです。

不測に立ちて無有に遊ぶ

トレードの成績が安定するようになって、気づいてみれば「予測」をほとんど行わなくなっているかもしれません。 予想したってどうせ当たらないのだから、予想するだけ無駄という諦めが根底にあります。

自分を観察してみると、チャートを見ても予測をしないから上がるだろうとも下がるだろうとも思っていないようです。

T = P = A

じゃぁ、どうやってトレードをしているのという話になりますよね。結論から言えば、「已むを得ず」にトレードしているだけです。

順に解説しますと、まず過去チャートを分析しまくることでセオリー(theory)が見えてきます。このセオリーを元に直近のチャートを見てトレード計画(plan)を策定します。

トレード計画はパズルのようなものです。パターン認識と言い換えても良いと思います。 あるパターンの次に来るパターンは大体決まっています(これがセオリー)。3つぐらい当てはまるパターンがあったとすれば、1つに決め打ちをせずに、それぞれへの対応を考えておくのです。

上昇を例に取りますと、上がり切るまでには必ず通る道というのがあります。100円から200円に行くには150円を通ります。移動平均線などのブレイクもその1種です。

これらが実際に行動を起こすトリガーとなります。トリガーが引かれたら、巡行しないかもしれないという恐怖を感じても、仕方なしにエントリー(action)です。

ここで恐怖に負けてエントリーを見送ると反省会が開催されることになるので、已むを得ずエントリーするのです。

私の場合、プランとアクションが合致していない売買が反省会の対象になることが多い気がします。 要は値動きに翻弄されての飛びつきで、上がりそうだとか下がりそうだとかの「予想・期待・思い」が入った売買です。

已むを得ずと言う行動原理ではなく、予想に基づく売買(期待や恐怖といった感情が裏に潜む)は失敗に終わることが大半なのが売買記録を見るとよく分かります。

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