1. 相場
  2. 基礎

デイトレでの勝率の上げ方

何も考えずに勝率を上げようとすると、「損小利大」の真逆をやることになります。 「損小利大」は言うほど簡単ではないので、少し視点を変えてみてはいかがでしょうか。


2021年4月1日

勝率と収支はイコールではない

トレードにおいて勝率は収支に直結するものではありません。

  • 勝率10%でもトータル収支のプラスは実現できる
  • 勝率90%でもトータル収支がマイナスになることもある
  • 例え勝率が90%あっても、積み上げた利益を吹き飛ばす1回の大負けで、トータル収支がマイナスになることはあり得ます。

    逆もまた然りです。小さな損切りを重ねていても、それらを上回る1回の大勝で、トータル収支をプラスにすることは可能です。

    得失点差

    スポーツの試合結果で、このことを考えてみると分かりやすいかもしれません。

    得点 失点 結果
    1試合目 2 0 勝ち
    2試合目 1 0 勝ち
    3試合目 2 0 勝ち
    4試合目 1 0 勝ち
    5試合目 0 10 負け
    合計 5 10 勝率8割

    5試合の内4試合に勝利しているので勝率で言えば8割、大幅な勝ち越しです。 その内容を見ると、得点の合計が5、失点の合計が10で、得失点差ではマイナス5となっています。

    とにかく試合に勝つことが求められているなら十分満足がいく結果でしょう。 しかし、得失点差が重視されるなら、さんざんな結果ということになります。

    もちろんトレードで重視されるのは得失点差、つまり収支です。勝率がいくら高くても、収支がマイナスでは意味がないのです。

    得失点差はゼロサムゲームで相場の損益と同じ性質を持っています。 トレードは勝ち数を競うゲームではなく、トータルの得失点差を競うゲームであるという点は押さえておきたいポイントです。

    勝率は回りまわって収支に影響する

    焦点を合わせるべきは勝率ではなく収支です。 とは言え、もう少し「勝率」という言葉に拘ってみたいと思います。

    勝率は心理に影響し、心理は収支に影響を与えるので、結果的に勝率は収支に影響します。 トレードの心理的側面を考えると、勝率は決して収支と無関係ではないからです。

    低い勝率に耐えられるか

    トレードに負けは付き物です。 負けること自体に問題は無くとも、負けトレードが次回以降のトレードに悪影響を及ぼすことは避けねばなりません。

    トーレドは継続的な活動です。1回1回のトレードを独立したものとして、一定の精神状態で、一定のルールに基づいて継続的に取り組む必要があります。 負けトーレドで熱くなったり、自信を失ったりして自分のフォームを崩すのはマズイのです。

    負けトレードになったとしても、「同じトレードを続けていればトータル収支はプラスになる」という確信を持てていれば、 フラットな心理状態で次のトレードに臨むことができます。

    しかし、負けてばかりいると、どうしても「確信」に揺らぎが生じてしまうのです。 絶対的な指針の無い相場の世界で、唯一指針となるのは自らのトレードルールのみ。 これを信じ切れなくなるのは致命的です。

    ルールで自分を縛るからこそ感情による悪影響を避けることができるわけで、ルールに従えなくなったら感情のコントロールを失います。 すると、トレードの成績を長期的な視点で捉えていたにも関わらず、直近のトレードに意識が向いて、

    • 勝ちたい
    • 負けたくない

    という気持ちが強くなるのです。これは欲望や恐怖といった感情に思考が支配された表れです。こうなるともう、まともなトレードは難しいでしょう。

    低い勝率で一貫したトレードを続けることは至難の業です。一貫したトレードを続けるためにもある程度の勝率は必要なのです。

    高い勝率の落とし穴

    勝率を上げるだけなら簡単に実現できます。少しでも利益が出たら確定し、含み損には耐えるようにすれば良いだけです。

    しかし、やっていることは「損大利小」であり、これで利益を上げることが難しいのは周知の通りです。

    トレードの収支は、売上(勝ち平均 x 勝ち数)から 経費(負け平均 x 負け数)を引くことで計算できます。

    トレードの収支 = (勝ち平均 x 勝ち数) - (負け平均 x 負け数)

    高い勝率と引き換えに、他の要素を悪化させてしまえば、トータル収支をプラスにすることは難しいのです。

    勝率を上げる方法

    トレードにおける勝率とは、総トレード数に占める勝ちトレード数の割合のことを言います。 総トレード数は、勝ちトレードと負けトレードに別けられるので、勝率は以下のような式で表せます。

    勝率 = 勝ちトレード数 ÷(勝ちトレード数 + 負けトレード数)

    相場の初心者は勝率を上げるために「勝ちトレード数を増やすにはどうすれば良いか」を考えます。

    • チャートの設定の見直し
    • インジケーターのパラメーター設定
    • 新しいインジケーターの導入
    • トレードルールの見直し
    • トレードルールにフィルターを追加する

    などなど、色々やって「見込みの精度」を上げようとするのですが、中々うまくは行きません。

    相場の上級者も一度はこの道を通っており、このアプローチでは思うような成果を上げられないことを知っています。 だから、別のアプローチを取るのです。

    総トレード数を減らす

    100回のトレードを行なって、その結果が、

  • 利益を上げたトレード5回
  • 損失となったトレード5回
  • プラマイゼロのトレードが90回
  • だったとしましょう。 これを上の式に当てはめれば、総トレード数100回に対し勝ちトレード数は5回なので、勝率は5%となります。

    普通に考えればこうなのですが、違和感を感じる人も多いのではないでしょうか。 違和感の原因は、プラマイゼロのトレード90回の扱いです。

    収支への影響は無いのだから、これらを総トレード数から除外しても良いような気がします。 この場合の勝率は5/10ですから、50%に跳ね上がります。

    勝ちとも負けとも言えないトレード

    目標価格もしくは損切り価格にヒットしなくても、想定と異なる値動きとなれば、撤退する判断もアリでしょう。 その結果は、毎回きれいに建値で撤退できるわけではなく、小さな利益を確保しつつ撤退する時も、小さい損失を受け入れて撤退る時もあるはずです。

    こういった勝ちとも負けとも言えないトレードの小さな利益と損失は相殺し合うので、トータルの収支に大きな影響を与えない存在となります。

    建値撤退でなくともトータル収支に影響が無いのであれば、これらもまたトレード数にカウントする必要は無いのではないでしょうか。

    小さいの基準

    では、どこまでが「小さい」と言えるでしょう。こういった場合の基準となるのがリスクです。

    エントリーする時は、同時にロスカット価格も決まっているはずです。つまり、そのトレードで許容する損失額が決まっていなければなりません。 これがリスクであり、尺度として使用できます。

    例えば、許容リスクの半分以下の損益でトレードが完結したならば、勝ちでも負けでもない「第3のカテゴリー」に分類するといった方法が考えられます。

    建値での撤退以外は勝ち負けのどちらかに分類されるところを、無理やり第3のカテゴリーに分類しているだけなので、厳密さは必要ないでしょう。

    要は負けトレードをどう定義するかなのです。誰でも負けトレードは避けたいものです。 「小さい損失ならば負けとは考えない」と自分で決めてしまえば、自然と小さな損失を受け入れられるようになったりするものです。 だって、負けではないわけですから。

    トントンで逃げる技術

    想定と違う動きとなれば、小さな利益もしくは損失でも撤退する。これは、ややもすると「チキン利食い」になってしまいます。 そして、小さな損失を受け入れられないと負けるときはしっかり負けることになり、損大利小をやることになります。

    ここに技術が介入する余地があります。

    一部だけ撤退する

    何かしらの見込みを立てていたとしても、その通りになるとは限りません。こういった不確実性が恐怖の感情を生み、チキン利食いを誘発します。

    天底をピンポイントで当てることなど不可能なのですから、幅を持たせた見込みで対応するしかありません。 分割での手仕舞いが具体的な対策となります。

    小さな利益でポジションの一部だけ確定して、残りは引っ張る。上手くいけば平均利益を上げることができます。

    上手くいかなかった場合でも、トントンもしく小さな損失でトレードを終えられます。つまり、勝ちでも負けでもない第3のカテゴリーのトレードです。

    こういったことができるようになると、トータル収支に大きな影響を与えないトレードが生まれ、 考え方次第ですが、勝率を上げることが可能になります。

    3分割法

    より具体的な方法は、下記の記事で紹介しています。

    ➡ デイトレでチキン利食いを克服する方法

    相場の最新記事

    1. 12月25日から12月29日

    2. 12月18日から12月22日

    3. 12月11日から12月15日

    4. 12月4日から12月8日

    5. 11月27日から12月1日

    PAGE TOP