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デルタ


2021年11月24日

デルタ(Delta)

デルタは原資産の価格が上昇した時に、オプションの理論価格がどれぐらい上昇するかを表した値です。 オプション価格は原資産価格の変動だけで決まるものではないので、他の条件が一定であればという条件が付きます。

値がプラスかマイナスかでその方向を、値の大きさいで影響度を表します。 現時点での原資産に換算した枚数と考えることもできます。

数学的には、「オプション価格を原資産価格で偏微分した値」として定義されます。 オプション価格を$O$、株価を$S$とすると、デルタ$\delta$は、

$$ \delta = \frac{\partial O}{\partial S} $$

と定義されます。 オプション価格を原資産価格で微分した値なので、X軸に原資産価格を、Y軸にプレミアムを取ったプロットの「傾き」に相当します。

原資産価格の変動とオプション価格の関係

コール プット
原資産価格の上昇 オプション価格の上昇 オプション価格の下落
原資産価格の下落 オプション価格の下落 オプション価格の上昇

プラスのデルタ値は「右肩上がり」の傾きを意味するので、原資産価格の上昇はプラスのデルタ値を持つポジションの損益を良化させます。 プラスのデルタ値を持つのは、コールの買いとプットの売りです。

マイナスのデルタ値は「右肩下がり」の傾きを意味するので、原資産価格の下落はマイナスのデルタ値を持つポジションの損益を良化させます。 マイナスのデルタ値を持つのは、コールの売りとプットの買いです。

デルタが取る値

コール 0 ~ 1
プット -1 ~ 0

傾きが1の意味は、原資産価格とオプション価格の変動が100%リンクするということです。 逆に0は原資産価格の変動がオプション価格に影響を与えないという意味になります。

DITMのオプションはよほどのことが無い限り、ITMで満期を迎えます。その価値は「本質的価値」に等しくなります。 本質的価値は原資産価格と権利行使価格の差であり、原資産価格の変化は本質的価値の変化とイコールです。 つまり、DITMのデルタ値は1に近い値を持ちます。

FOTMのオプションはよほどのことが無い限り、OTMで満期を迎えます。 原資産価格が少し動いたぐらいでは、その状況は変わりません。つまり、FOTMのオプションは0に近いデルタ値を持ちます。

その中間に位置するATMのオプションは0.5に近いデルタ値を持ちます。ATMのオプションが満期にITMとなるかは半々です。

デルタは、正負の符号を無視すれば、オプションがITMで満期を迎える確率と解釈できます。

デルタの挙動

デルタ値はATMに近づくほど大きく変化する。

ATMのデルタ値

  • ボラティリティの変化に鈍感
  • 満期日が近づいてもあまり変化しない

本質的価値の影響が大きいということです。

OTMのデルタ値

  • ボラティリティの変化に敏感
  • ボラティリティが上昇するとデルタも上昇
  • ボラティリティが下降するとデルタも下降
  • 満期日が近づくほど変化しやすい

付帯的価値の影響が大きいということです。

満期日までの時間の影響

満期日が近づくにつれ、

  • OTMのデルタ値は0に向け減少し、原資産価格の変動への感度が鈍くなる
  • ITMのデルタ値は1に向け増加し、原資産価格の変動への感度が鋭くなる

期近と期先では、

$ 期近 > 期先$

となる。

ヘッジの目安

ポジション全体のデルタ値をゼロに調整すれば、相場変動による影響を避けることができる。 ロングとショート、またはコールとプットを組み合わせ、全体のデルタ値をゼロに調整することで、相場の方向性に中立な「デルタ・ニュートラル」を実現できる。

これにはオプションだけでなく、原資産($ \varDelta = 1 $)を組み合わせることもできる。 株式であればデルタ以外(ガンマ、セータ、ベガ)の影響を受けない。 金利や配当もデルタ値に影響するが、その影響度合いは無視できるぐらい小さい。

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