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レシオ系スプレッドの選択

相場観に合ったレシオ系スプレッドはどれ?


2021年11月9日

レシオ系スプレッド

レシオ系のスプレッドは以下の4つに集約されます。

「レシオ・スプレッド」と「バック・スプレッド」は裏返しの関係で、2つのスプレッドを同時に持つことで完全にヘッジされたポジションを作ることができます。

OTM Put ATM Put ATM Call OTM Call
PRBS +2 -1
RPS -2 +1
RCS +1 -2
CRBS -1 +2
Total 0 0 0 0

プットとコールで同じことを行えば、4つのスプレッドの組み合せでもフラットなポジションの構築が可能です。 権利行使価格、枚数を合わせれば「意味なしポジション」となり、手数料分の負けとなります。

原資産価格の4つのシナリオ

暴落 下落 上昇 暴騰
PRBS ☆☆☆ ★★
RPS ★★★ ☆☆
RCS ☆☆ ★★★
CRBS ★★ ☆☆☆

原資産価格の4つのシナリオにおける損益予想を一覧にしてみました。 レシオ・スプレッドとバック・スプレッドは裏返しの関係なので星も反転します。 ☆が利益、★が損失です。

星の並びだけを見るとバック・スプレッドがレシオ・スプレッドよりも有利に見えますが、 それぞれのシナリオの発生確率は同じではないので、どれかが優位ということはありません。

暴落と暴騰の発生頻度は高くはないのでこれらをボーナス的に捉えるなら、原資産価格の見込みによる戦略の選定は以下のようになります。

上昇を見込む

下降を見込む

IVの変動

IV上昇 IV下降
PRBS
RPS
RCS
CRBS

オプション価格に影響を与えるのは原資産価格の変動だけではありません。 ボラティリティの変化は必ず考えなければならない要因です。 IVの上昇に強いのはバック・スプレッド。IVの下降に強いのはレシオ・スプレッドとなります。

IV上昇を見込む

IV下降を見込む

レシオ系スプレッドの選択

IV上昇 IV下降
原資産上昇 Put Ratio Back Spread Ratio Call Spread
原資産下降 Call Ratio Back Spread Ratio Put Spread

原資産価格とIVの変動見込みのマトリックスです。 両方とも的中させると利益、両方とも外すと損失となります。 片方だけ的中の場合は「引き分け」となる可能性が高いです。

IVのサヤ取り

レシオ系のスプレッドは内側と外側のレッグで構成されます。 内側と外側ではIVに差があるのが普通で、この差には「定常性」があると考えられます。 ならば、現在の差が平均的な差に戻る動きを利益に変えることも可能なはずです。

利益が出るかどうかにIVの上昇と下降は関係ありません。差が縮まるか広がるかだけが損益に影響する「サヤ取り」のIV版と言えるものです。 IVサヤ取りは、デルタ・ヘッジが前提になるので、アクティブなトレーダー向けです。

レシオ・スプレッド

レシオ・スプレッドはIVの低い内側を買い、IVの高い外側を売ります。 従って、IVのサヤの縮小に賭けていることになります。

バック・スプレッド

バック・スプレッドはIVの低い内側を売り、IVの高い外側を買います。 従って、IVのサヤの拡大に賭けていることになります。

平均への回帰

デルタ・ヘッジを行いながら、IVのサヤが平均値へ回帰する動きを利益に変えようとしている場合、 ポジションの抱える含み損は拡大縮小の流れを見誤ったことになります。

と同時に、サヤが平均から更に遠ざかったということでもあり、平均への回帰を前提とすれば、ナンピンのチャンスとも言えます。

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