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【書評】使える!確率的思考 小島寛之著

学校では教わらなかった「確率的なものの見方・考え方」は、人生を生きる中ですごく役に立つのだ。一生もので使えるのだ。(はじめにより)


【最終更新日】2021年2月12日

生きることは賭け事だ

我々が生きる社会には賭け事が山のようにある。公認ギャンブルはもちろん、宝くじだって立派な賭け事だ。

賭け事を嫌う人も多いだろう。しかし、賭け事を嫌う人でも保険には入っていたりする。保険は賭け事そのものなのにである。 災厄という負の利益に対して、それが起こったときの損害を抑えるた「逆宝クジ」を購入していることに他ならないからだ。

インフレやデフレという言葉があるように、お金は価値は絶対的なものではない。物価は変動するのだ。 したがって、経済社会で生きていくということは不確実性の世界を生きることでもあり、生きること自体が「賭けの要素」を孕んでいる。

真実として語られることもほとんどが「そうなる確率が高い」というのが本当のところで、決して絶対というわけではないのだ。 未来がどうなるかなんて誰にも分からない。 だから、絶対なんてものは信じないで、常に「確率的に物事をとらえる」という姿勢が真っ当なのだ。

統計感覚のゆがみ

偏向報道という言葉をよく聞くようになった。 最近は、マスコミではなくオールドメディアなんて名前で呼ぶらしいが、彼らが真実を伝えようとしているようには見えない。

飛行機事故で亡くなることは、自動車事故で亡くなることに比べると、相対的に微小な確率にすぎない。 しかし、自動車事故ではニュース性がないからその実際の頻度ほどには報道されず、飛行機事故ならばほとんど必ず報道される。

すると、自動車には平気で乗っても、飛行機に乗るのは怖いという人がでてくる。

最近ではコロナの報道がそうだろう。やたらと恐怖を煽ってくる。真実よりも視聴率、それがちょっと露骨すぎる。 だから、入ってくる情報には「統計感覚」や「確率的なものの見方」といったフィルターを通した上で接しないと、いいようにやられてしまいそうだ

使える!確率的思考

ということで、ようやく本書「使える! 確率的思考」の紹介がはじまる。 ベストセラー「完全独習 統計学入門」の著者である小島寛之さんの新書である。

 

本書は、不確実な社会において正しい意思決定を行うためのスキルを解説した本だ。統計データを正しく読むためのスキルを紹介した本でもある。

「確率的思考が身に付けば世界の見え方が一変するよ」という話が様々な形で登場するが、 この本が特徴的なのは、一般論では終わらせずに学術的な話にまで一歩足を踏み入れている点だ。

  • ベイズ推定
  • 事例ベース意思決定理論
  • 内生的確率空間
  • ランダムマッチングのゲーム理論
  • 動学的不整合性の理論
  • 合理的期待形成の理論

名前だけ列挙すると取っ付き難そうなものばかりであるが、そこは新書である。身近な例に紐付けながら、おもしろおかしくその要点を解説してくれている。 文章も堅苦しくなく読みやすい。

好き嫌いはあるかもしれないが、好奇心を大いに刺激される内容だったので、娯楽としては星4をつけたいと思う。

確率的思考の立場でトレードを見ると

このブログはトレーダーの視点で書かれているものがほとんどだ。だから、トレードに対するネガティブな考えにはあまり触れたくないが、 公平を期すためにも本書がトレードをどう見ているかも紹介しておこう。

株価の値動きをランダムウォーク(酔歩運動)であるとした上で、以下の様にまとめている。

1回1回の勝負自体は公平で五分五分のものであるとしても、「資金がなくなるまで」というルールで勝負をしたら、 貧乏人は金持ちにほとんど勝てないのである。短期の株式投資というのは、半丁ばくちみたいなものだといっていい。 (中略)資金に制約がある限り公平ではありえず、 貧乏人は決して金持ちにはかなわないのである。これは数学法則から導かれる人生哲学なのだからしょうがない。

決して、金持ちには勝負を挑むなということだ。

それでも私は、金持ちと同じ側に立つよう努力して、それで少しでも「おこぼれ」を貰えれば、個人トレーダならやっていけるのではないかと思う次第である。

 

➡ 小島寛之著『使える! 確率的思考』

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