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荘子 100分de名著

NHKのテレビ番組を見ました。


2022年1月10日

100分de名著

NHKでやっている「100分de名著」という番組。「荘子」を取り上げた回をまた見ました。

便利な世の中になって、古いテレビ番組も普通に見ることができます。「NHKオンデマンド」は有料になりますが、そんなサービスの1つです。 私は「UNEXT」経由で視聴しました。

ゲストは作家で僧侶の玄侑宗久さん。番組では著書の「荘子と遊ぶ」をベースに荘子の魅力が語られます。 この本は今でも就寝前によく読む1冊です。 1章1テーマで構成され、さらに1章の中に緩急があるので寝る前の読書にピッタリなのです。

本には玄侑さん自身が登場し、思考の世界に沈降した玄侑さんを荘周がたしなめる場面が度々描写されます。 そんな荘周は現代に生きる関西弁を話す動物専門の心理カウンセラーとしての登場です。 飼い主が連れてくるのではなく、動物自らが荘周の元を訪れるので一銭にもなりません。

現代の日本人が抱えるのと同じ心の病に悩む犬猫や百足、 はたまた「荘子」に出てくる人物がスーツ姿で現れたりと、はちゃめちゃながらもハートフルな世界観に心が癒されます。

荘子(中公クラシックス)

話は100分de名著に戻り、番組冒頭では玄侑さんがボロボロになるまで読み込んだ「荘子」がお披露目されます。

この荘子は「書き下し文 + 現代語訳」の構成の上下2冊組、中公クラシックスの本です。原文の掲載は無く、所々少しの解説が入るだけですが結構なボリュームがあります。 シンプルな装丁と偏りの無い訳が高い評価につながっているようです。

この本も丁度手元にありますので、番組で取り上げられた内容が中公クラシックス版の荘子のどこに書かれているのか、その目次を作っておきます。

渾沌、七竅に死す

内篇 応帝王篇 9 (I P201)

感覚もすでに私に染まっている。味覚ですら相対的なもの。

はねつるべ

外篇 天地篇 11 (I P289)

スピーディーに出来る道具が出ることで、もしかしてどんどん短気になっていませんか? 待てなくなっているでしょ? 手紙だったら10日は待てた。FAXだったら翌日まで待でた。スマホのメールだと2時間以内に返事が来ないとコイツ何考えているんだ…

哀駘它(和して唱えず)

内篇 徳充符篇 6 (I P135)

我々が会話の中で求めいているものは、正しいかどうかジャッジして欲しいのではなくて、私の気持ちを分かって欲しいということ。

已むを得ずして

外篇 刻意篇 2 (I P372)

感じて而る後に応じ
迫られて而る後に動き
已むを得ずして而る後に起ち
知と故とを去りて天の理に循う

やむを得ずが最高の行動原理。計画とか目標と呼ぶと良いものと見えるが、これらは予断とも言える。

主体性(罔両、景に問いて曰く)

内篇 斉物論篇 26 (I P72)

状況に無関係な自由意思を人間は持てない。荘子の言う主体性とは、状況に任せきれることの強さ。

不測に立ちて無有に遊ぶ

内篇 応帝王篇 4 (I P192)

未来を憂えない、予測しない、計画しない。その時、自分が生命体として何を感じるのか、所謂「直観」を活かせなくなっていないか?

ご飯を食べに行って美味しかったのに、ネットで調べたら評価が低かった。 自分が美味しいと感じたのに、データを重視しすぎて、美味しくなかったことにしそうな世の中になっている。

無意識(包丁)

内篇 養生主篇 2 (I P76)

無意識になるには反復練習しかない。意識を担当するのは私であり、反復練習により身に付くと、私の存在を手放せる。無意識であることが「遊」につながる。

無用の用

内篇 人間世篇 13 (I P112)、 内篇 人間世篇 18 (I P120)

世間的に役に立つかどうかという物差しだけじゃないでしょ? 荘子が考えるように命を大事にしていくと、世間的には役立たずに見えるかもね。「柳は緑 花は紅」 2つの違うものを安易に比較していませんか?

もちまえ

外篇 達生篇 12 (Ⅱ P43)

故に始まり(生まれつきの下地)
性に長じ(無意識の領域 = もちまえ)
命に成る(さからえない流れ)

生まれついての下地の上に、習慣化による「もちまえ」を形成する。 世の中には逆らえない流れはあるので、それに合わせて「遊」にして楽しんでいく。

個性という言葉が流行っているがやっかいなもの。自分の個性は何かという問いはスパイラルに入る。習慣化により無意識化したもの全てがもちまえなので、新たな習慣によりもちまえは変えられる。

所謂道は悪くにか在る

外篇 知北遊篇 11 (Ⅱ P132)

私という媒体を通さなければみんなひとしい

胡蝶の夢

内篇 斉物論篇 27 (I P73)

人は気づき続けていく。新しいことに1つ気づくと、気づかなかった時の見方というのは夢のようなものですよね。

北冥に魚有り

内篇 逍遥遊篇 1 (I P3)

(道枢)自由な状態で我々の心を置いておけば、こんな風に遊べるんだ。

今、荘子を読む意味

世の中を運営するルールには儒家的な考え方が必要。しかし、同じ理屈で個人を運営するというのは辛すぎるんですよ。心の自由がどう実現できるか。それを荘子は教えてくれるのです。

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